種火

君に残せるもの、何があるかな。


お金、使えばなくなるよ、

食べ物、食べたらなくなるよ、

名誉、そんなものないし。



君の父親として、わたしは種火を残そう。


たとえば勇気という火、

一歩前に進む力をくれるかも。


たとえば好奇心という火、

知る力が湧いてくるかも。


たとえばやる気という火、

持ち味を発揮してくれるかも。



種火のすばらしいところは、

わけてもわけても減らないことなんだ。



だから、君が種火を手にしたなら、

おしみなく人にわけなさい、遠慮はいりません。



そして、

愛を知りなさい、

愛の種火を手にしなさい。


その種火をたくさんの人たちといっしょに、

味わえる人でありますように。




*鈴木 七沖


たきがみ博士
たきがみ博士

  旬(ときめき)亭

  亭主 たきがみ博士