大きな町の入口で、おばあさんが石の上に座っていました。
そこへひとりの旅人が通りかかり、おばあさんにこうたずねました。
「これから入っていく町は、いい町ですか?幸せを与えてくれる町でしょうか?」
おばあさんは答えます。
「あなたが住んでいた町はどうでしたか?」
旅人はこう返します。
「とても嫌な町でした。だから新しい町に移ってきたのです」
おばあさんは、旅人にこう言いました。
「あなたの行く町は、あなたが来た町と同じです」
また、別の旅人が通りかかり、おばあさんに同じように聞きました。
「これから入っていく町は、いい町ですか?幸せを与えてくれる町でしょうか?」
おばあさんは同じように答えます。
「あなたが住んでいた町はどうでしたか?」
旅人はこう返します。
「素晴らしい町でした」
おばあさんはほほ笑んで、旅人にこう言いました。
「あなたの行く町も、あなたが来た町と同じように素晴らしいですよ」
誰の人生にも、長い年月の間には、いいこともあれば悪いことも起こる。
しかし、その中においても、いいことだけを探してそれを見続けていると、嫌なことの中にさえ、いいことを見つけることができるようになる。
「あなたの行く町は、あなたが来た町と同じです」
よいことを探し続ける人生でありたい。
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ある一人の女性のエピソードがあります。
その女性には多くの兄弟がいました。
一番下の弟は、身体障害者で生まれ、幼稚園に入る年頃になっても、寝たきりでした。
弟を喜ばせたいという思いから、家族みんなが弟に
「その日あったよいこと」
を話したそうです。
すると、弟はニコニコと笑顔で反応し、ときに声をあげて一緒に喜んだり楽しんだりするようになりました。
それを主治医に報告したところ
「病気が治るわけではないけれども、とてもよいこと」
と言われたそうです。
それ以来、家族はみな、1日1ネタ、楽しいことやうれしいことを探して、手帳にメモするようになったのです。
その内容は、他愛もないことだったと言います。
「帰り道に、とてもかわいらしい犬がいた」
「街路樹が赤く紅葉してきれいだった」など。
その家族は、帰宅すると必ず弟に1日の出来事を報告する。
すると、弟はキャッキャッと喜ぶ
その女性いわく
「よいこと」
は弟へのおみやげ、ギフトなのだそうです。
弟さんは、今もお元気だといいます。
私がその女性に接したのは、彼女が大学生の頃でしたが、10年近くも「よいこと」探しを続けていると語ってくれました。
彼女はまた、こんなことも言っていました。
「よいことばかり、毎日探そうとしていると、接する人すべてがとても温かく思えてくるのです。
嫌な人には一切会わない。
これは弟からの何よりのプレゼントです」。
私はこの話を聞いて、胸が熱くなりました。
その後、彼女はとても幸せな結婚をしています。
*1分で感動から転載
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