よく「ピンチはチャンス」と言われるじゃないですか。でもピンチはピンチです。誰が何と言っても。
私が経営でピンチに陥った時、もし「千房物語」が映画だったらどうだろうかと
考えたことがあるんです。
私が直面するピンチは、言ってみたら、映画の一番おいしいところですよね。
ドラマの主人公や脇役の人たちが悲愴な顔をして愚痴や文句ばかり言っていたら、そんな映画は面白くも何ともないじゃないですか。
逆に能力があるなしにかかわらず、皆が一所懸命にやっているドラマは面白い。
つまり大変な状況に直面したとしても、
「自分たちは人生の中で一番面白い局面にいるんや。
もっとドラマチックにしよう」と考えを切り替えることが大事です。
私自身、そう頭を切り替えてから、責任が重いのと心が重いのは全く別だということに気づきました。
責任は重くても心、つまり考え方は、軽くなかったらいけません。
そういえば、私が千房を創業して大きな借金を抱えていた頃、常盤薬品創業者の中井一男さんから
「政嗣さん、あんたは大きな借金を抱えているけれども、
金が欲しい時に金を追うたらあかん。人を追いなさい」と言われました。
人を追えというのは人を捕まえるのではなく、
人を喜ばせること・人を集めることに専念しろという意味なんですね。
この一言に救われたことは、いまも忘れられません。
では、どうしたらお客様に喜んでいただけるかを考えると、その前提となるのはやはり従業員がニコニコとお客様に接してくれることですし、従業員が幸せだと感じてくれる会社でなくてはいけません。
と同時に会社自体の発展もなくてはいけない。
お客様の満足、従業員の幸せ、会社の発展。
経営とはこの三本柱だと思っています・・・。
中井政嗣(千房社長)
※致知 「一天地を開く」より
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